源氏物語 あさきゆめみし大事典あさきゆめみし用語:さ行, あさきゆめみし文庫版第1巻, 登場人物 > 末摘花(すえつむはな)

末摘花(すえつむはな)

常陸の宮の姫。鼻が赤くて目立つ醜い顔だが、豊かな黒髪は長く、美しい。

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父である常陸の宮が亡くなり、困窮して過ごしていた末摘花。頼りになる女房もないので、たまに光源氏の乳姉弟の大輔の命婦 (たいふのみょうぶ)が世話をしに来ていた。

末摘花は、世間知らずで人一倍の恥ずかしがりや。宮家の娘だが、琴や歌、文筆の才能はないに等しい。ただし、黒髪は豊かで、 身長よりも一尺以上も長く、後姿は美しい。京では、面倒になる親はなく、荒れた家に住む内気な十八・ 九歳の美しい姫君という噂が飛び交っていた。

噂を聞いた宮廷一、二の美青年を争う頭の中将と光源氏から、色めいた文を何度ももらうが、何と返歌して良いのかわからず、 末摘花は文を出さない。頭の中将も末摘花を狙っていると知った光源氏は焦り、乳母子の大輔の命婦に手引きを頼む。 末摘花は屏風越しに光源氏と会うが、初めての身内以外の男性との対面なので緊張し、声ひとつ出すことが出来ない。 大輔の命婦が気を利かせて灯台を消してしまった暗闇の中で、光源氏と一夜を過ごすが、末摘花は恐ろしさのあまり念仏を唱える始末・・・。 後朝の歌や文体はあまりにひどく、光源氏をがっかりさせてしまう。

久しぶりに末摘花を訪問した光源氏は、朝方に格子を開けて雪を眺めた時、初めて彼女を見て仰天!痩せこけた体に変わった衣装、 そして極めつけは整っていない顔に乗っかる彼女の赤い大きな鼻。言葉を失いながらも、あまりのすごさに目をそらすことが出来ない。 早々に引き上げた光源氏は、再び足が遠のいた。末摘花を忘れられない光源氏は、二条院で末摘花の絵を描き、 鼻を赤く塗って幼い紫の上とふざけ合う。

末摘花の醜い顔を見た大輔の命婦は愕然とし、光源氏のプレイボーイぶりを話し、諦めさせようとするがすでに遅し。 末摘花は光源氏のとりこになってしまっていた。

正月には、正室が送るはずの衣装を送りつけた末摘花。そんな世間の常識知らずで不器用な彼女に他の男は寄り付かないだろうと、 光源氏は彼女の生活を援助する。その時詠んだ

  • なつかしき 色ともなしに なににこの
    末摘花を 袖にふりけむ

という歌より、彼女は「末摘花の姫君」と呼ばれるようになった。

  • 《源氏物語 あさきゆめみし 其の五》

光源氏が須磨へ下って二年。末摘花の屋敷は、女房達も残り少なくなり、荒れ果てていた。叔母の大弐(だいに)の北の方が、 昔常陸の宮から下げずまれた報復にと、末摘花を筑紫の国に女房として連れて行こうとするが、末摘花は拒絶する。 頼りにしていた侍従は大弐の甥と結婚し、共に西国へ下ってしまった。

泣き暮らして数年後、空き家のように荒れ果てた屋敷に、光り輝く光源氏が訪れた!やがて、末摘花は二条東の院の北の対に呼び寄せられ、 日々の食物に困ることなく暮らした。

  • 《源氏物語 あさきゆめみし 其の十七》

だんだん深刻な話になっていく『源氏物語 あさきゆめみし』で、ちょっと一息、笑えるのがこの末摘花のお話。 数々の美しく才能溢れる女性達に混じって、並ならぬ顔に教養もイマイチの貧乏暮らしの姫君。 しかも鈍くさい性格でどうしようもない程の恥ずかしがりやで、宮家としての気位は高く、物に対する執着もかなり激しい。

けれども光源氏への愛は尽きず、どんなことがあっても彼を待ち、一生懸命考えて歌を書き、光源氏の趣味に合わない贈り物をする。 世間の常識に疎い宮家の姫君なので、正月の衣装を送ったり、玉鬘の裳着のお祝いと一緒に恋の恨み言の文を届けたり・・・。 このずれた行動が笑えます。

そんな面白い彼女を光源氏は見捨てず、愛した女性達を住まわす二条東の院に迎えました。(彼女の元へあまり訪れなかったようですけど。 )そして、紫の上を失った光源氏が、愛した女性達を思い浮かべ、別れを決意する感動的な場面でも、末摘花を思い浮かべています。 (正面ではなく、後姿だというのがちょっと気になりますが・・・。)恋多き光源氏にとって、容姿の醜い末摘花でも愛した女性の一人。 末摘花の決して自分が美しくなくとも、好きな人をずっと想い続ける一途なところ。居場所を変えずに彼を待ち続けた。 それが彼女の幸運を掴んだのでしょう。

六条の御息所のような思い込みの激しい一途な恋は怖いのですが、末摘花のような純粋な一途さって、容姿にかかわらず、 やはりかわいいですよね。

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最終更新日⇒2011年08月25日
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