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橋姫の 心をくみて・・・

橋姫の 心をくみて 高瀬さす 棹のしづくに 袖ぞ濡れける

弁の君より自分の出生を聞いた薫。宇治を立ち去る前に、大君に送った歌。

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橋姫の 心をくみて 高瀬さす 棹のしづくに 袖ぞ濡れける

橋姫の 心をくみて 高瀬さす
  棹(さお)のしづくに 袖ぞ濡れける

宇治の橋姫のような、淋しい姫君の心を察して、浅瀬にさす舟の棹の雫に袖を濡らすように、 私も涙で袖を濡らしております。という意味。

「宇治の橋姫」は、流れの速い宇治の川瀬に居て、人の罪けがれを運び去ってくれると信じられた女神、 宇治の橋の守り神、鬼女など、色々なお話があるのですが・・・。

『古今集』の読人しらずの歌で、このような歌があります。 「さむしろに 衣かたしき 今宵もや 我をまつらん 宇治の橋姫」。この古今集の歌から、宇治の方に住む女性 (特に思いを寄せる恋人)を「宇治の橋姫」と例えて詠まれることが多かった。ですから薫も、 姫君達が合奏するのをこっそりと覗き、その彼女達の美しさに「宇治の橋姫もかくやと思うような」と感動し、 姫君達を宇治の橋姫に例えます。

そしてその後、もともと女房達の噂から、光源氏が自分の父親ではないと知っていた薫は、 弁の君から自分の出生の秘密を聞いて、ショックを受け、真実の自分を見つけます。

(そして、『源氏物語 あさきゆめみし』では、省かれて描かれていないのですが)この歌を作る前に薫は、供の者から 「網代に人が集まっているのに鮎の稚魚がかかっていない」と聞いたり、刈った芝を積んだ粗末な舟が川を行き交うのを見て、 誰もがこの世を渡ることは不安定なのだと悟りました。

宇治川のその侘しい情景を踏まえて、都から離れた山奥の宇治にいる姫君達の寂しさを思って、歌を送った薫。 この時はまだ、匂の宮曰く「堅物」な薫は、自分が大君への恋に目覚めたことに全く気づいていません。

けれども、真実を知り、その胸の内を知ってもらいたい人物に、瞬間的に大君を思い浮かべた薫。 この歌では姫君達の淋しさに同情していますが、実は真実を誰にも打ち明けられない自分の方がもっと淋しかったのでは? だけど、残念ながらその淋しさや薫の愛を、大君は受け入れずに旅立ってしまいました。両思いのはずなのに、 人を思いやるが上に不幸になるなんて、何だか切ないですね。

さしかへる 宇治の河をさ 朝夕の しづくや袖を 朽たし果つらむ

大君の返歌

さしかへる 宇治の河をさ 朝夕の
  しづくや袖を 朽(く)たし果つらむ

  • 《源氏物語 あさきゆめみし 第2部「宇治十帖」編 其の2》

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最終更新日⇒2011年08月25日
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